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退屈しているおっさんの日記

「すべての犬は天国へ行く」 イムズパフォーミングアーツシリーズ06 vol.4 2006/08/26 マチネ

     アメリカ西部のある村。鉄道が通るか通らないかの時代。奇妙に捻れていく女たち。

     というお話はどうでもいい、ケラリーノ・サンドロビッチ世界。台詞が面白い。面白い台詞を吐く女優がまた面白い。これはきっと、やって楽しい脚本だろうなあ。見て楽しいかは別問題だけど。こういうのを見慣れてない人は、頭の上にはてなのマークを乗せたまま終幕を迎えてしまうのじゃないかな。感動を呼ぶ物語ではないし、問題は解決しない。

     劇中の問題を解決しないまま終幕する脚本はたまにある。解決しなくても面白い脚本と、解決しないからつまらない脚本には、大きな差がある。それは台詞のセンス。訓練された役者が行う、面白いやりとりがあれば、脚本の物語性は重要ではない。

     役者もスタッフワークも、妥協しない作り込みを感じる。時間とお金を遣うに相応しい、上質の舞台。\3000はとてもお得な買い物。休憩含み3時間は、俺はもっと観ていたいと思った。終わるのが勿体ないと思った。喝采。

     もっと観たい女優が次々退場していくので、先細りの印象。と言う意味で、ひゃー!死なないでーッ!と思った。銃声にいちいちビックリするし。

     エリセンダは役者不足じゃない?(稽古不足かもしれないけど、客には関係ない)。噛みが多いし、芝居が埋まってる感じがしない。と思うのは、周りが面白すぎるからだろうか。

     じゃあ、誰のなにが面白いのかを、いちいち感想を書き出すと膨大な量になるので書かない。特に印象深い箇所を順不同箇条書き。
    1.リトルチビの噛み合わない会話。
    2.マリネをおばさんと言ったら承知しない。
    3.落ちるスイングドア。
    4.デボアの存在自体。
    5.キキの天然。
    6.ガスの行動すべて。
    7.メリィ。全部。
    8.クローディアに嘘を教える。
    9.たんつぼ。

     これがたったの3ステージは勿体ないな。ロングランかかってたら、当日券で一回観てみたくなると思うけど。

     ささやかな俺の希望は、こうまで造り込んでやっと、お客様に満足いただくことが出来る。と、福岡の演劇関係者が目指すラインになること。上を見て芝居しようぜ。

    ≪20060902追記≫
     福岡で注目度の高い舞台だった(某所からのアクセスは100を超えた)。ために、言及している人が多い。言及している人の中には、福岡で演劇に関わっている人もいる(ようだ)。面白いと言う人も、面白くないと言う人もいる。面白くないと言うのは勇気がいるけれども。
     おもしろくない、あるいは期待はずれと書いている人がいて、彼らは様々な予防線を張った上で言及している(ようだ)。期待はずれだった理由はなるほどと思える。同意する部分もある。それでもなお、俺にとっては面白い芝居だった。
     「すべての犬は天国へ行く」を面白くなかったと思っている人が手がけた芝居を、俺は観てみたい。
     自分が手がけた芝居は、自分が観たい、自分が面白いと思う芝居であるべき。自分がつまらない、あるいは期待はずれと思っている出来の芝居を板の上にのせて、あまつさえ客から金を取ったりしないよね?。
     余談:weblog占い。ある芝居に言及させておいて、芝居を作らせる。占い師は、出来上がった芝居を観て、占う。
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    のんちゃんのつれづれ ← レビューではないのですが「福岡の若手演劇人の舞台は、その質が悪いし、そのことを当然としている」に激しく同意。