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失踪、喪失、再生のものがたり。ものがたらない。
茫洋としてふわふわとした文章。派手な事件はないのだけど、反面、ぞわぞわと心が落ち着かない。文章の奥深いところがこわいのか?。真鶴という土地を具体的に想像できると、更に楽しめるかもね。
家族の失踪を取り扱ったお話で「柔らかな頬」がある。こちらは娯楽小説。いっぽう「真鶴」は文芸。ところで文芸とはなんぞ?。はてなキーワードによると以下。
言語表現による作品物語の起承転結よりも、文章の字面、文章から想起される風景、を楽しめる文章だと俺は思って。川上弘美さんの作品は、俺にとってはまさにそれ。だけど人によっては、
文字による芸術に加え、言語表現による作品全般をさす
「こんなもんは文芸とはいわん。これはカストリだ!」
と言うのかも。感想は人それぞれ。