.log(ぽちろぐ)

退屈しているおっさんの日記

博打について

     小学生の頃、近所には駄菓子屋があった。10円のあめ玉とか、ガムとか。そんなものより放課後の小遣い50円を握りしめた俺らの関心事は、一発20円でひけるクジ引きだった。
     一等が出れば、マトモに買ったら2000円ほどはしそうな超合金のおもちゃがもらえるのだが、そんな幸運は滅多な事じゃ。
     50個程度並んだマス目のうち、これと睨んだ蓋を開ける式のクジ。50円の小遣いは、来る日も来る日もしょぼいガムに化けた。普通に使えば50円の小遣いは有益だが、ハズレのガムは、なんだかなあ。けどもチャンスの代償だからまあ、しょうがねえ。

     ふだんは悪ガキ仲間と行くその店に、その日は俺一人で行った。今日こそはと臨んだクジ引きだったが当たるはずはない。だけども店のオヤジが、なんの気まぐれか、一等の超合金をくれると言う。
    「いつもきてくれるから、これをあげよう。みんなには内緒だよ」
    喜び舞い踊ってうちに帰り、ニヤニヤしながら遊んだXウィングのおもちゃ。なんと、翼が開閉するんだぜ!。

     当時はバカガキの俺でも、今なら気づく。あの50個のマス目には、アタリはない。その類のクジが店内には数種あったが、それらのどれにも、アタリはない。当時、アタリが出たという子供はいなかった筈だ、同時に、50個の蓋が全て開いた状態を見た者はいない。

     それが詐欺だと今更言いたいわけでなく、当時の俺は真にバカだった。当時の俺に会えるならば、あの駄菓子屋のクジというクジを全て買い占め(今の俺にはそれをする財力がある)、
    「なっ。アタリ出ないだろ?」
    と言ってあげたい。更には
    「子供相手になんちゅう阿漕な商売をしてるんだ?」
    と駄菓子屋のオヤジをぎゅーぎゅー言わせたい。

     そんなバカガキだったけど、パチンコはやらない大人になった。もし、駄菓子屋の阿漕な商売のおかげだったら、これは感謝。